この先もずっと願っているよ
「大丈夫?」
「あっ、その一緒に来ていた友達なんですけど、良い商品を見つけたみたいで……。来るのが遅くなるそうなんです」
「それって真由美さん?」
「あっ、はいそうです。先輩知ってるんですか?」
尚人先輩には真由美のことは話したことないはず。どこで聞いたんだろ?あれ、なんか焦ってる?
「うん。写真部の友達から、良く名前を聞くからね。元気な子って」
「そうなんですか…」
「そうだよ。あっ、真由美さんが来るまでここにいても良い?」
「え?いいですけど、お友達は大丈夫なんですか?」
「大丈夫、すぐ戻らないかもって言ったしね」
「じゃぁ…」
そうじゃないよ!これ以上先輩と何を話せばいいの?思い切って女の先輩の花蓮先輩のことを聞く……?いやでも、先輩から名前が上がってないのに、知ってるって言うのが、ストーカーみたいに思われたら?いや、どうせ最後なんだし聞いて見よう。うん!
「尚人先輩、ずっと聞きたいことがあったんですけど」
「ん?なんでも言ってみて」
「その、花蓮先輩とはどういう関係なんですか……?やっぱり、付き合ってるんですか?」
ついに聞いてしまった。これで、恋人て言われても泣かないようにしないと。……きっと、それでも私は、先輩が何を言っても、花蓮先輩との関係を疑ってしまうだろう。
「花蓮と?」
呼び捨て、なんだ。いや、もう諦めるって決めたのになんでこんなに苦しい思いをするの……。
涙が出てくる。泣くつもりなんかなかったのに。あぁ…また先輩を困らせてしまっている。
呼び捨てってだけで涙が出るほど私はまだ、先輩が諦めきれていないんだ……。
「大丈夫?ほら、ハンカチ使って」
「…ありがとうございます」
声が掠れる。先輩が差し出してくれたハンカチで涙を拭う。
「辛いことでもあった?」
「そんなところです」
「俺が話聞くよ?」
「いや、人に聞いてもらうような話でもないので」
「それでも大丈夫だよ。ほら、植物とか人形と思ってもらってもいいし、ね?好きな人がなにで悩んでいるか、ちゃんと聞きたいから」
先輩の強引さにたじろぐ。話して、しまってもいいのだろうか?名前を言わなければバレない?でも、他に好きな人がいるって思われるのも嫌だし……。
あれ?先輩『好きな人』って言った?
「好きな人?後輩ってこと?」
つい声に出てしまう。それを先輩も聞き取ったのか、なぜか驚いた顔をしている。
「え⁉︎俺言った?」
「…はい」
「まじか…ずっと言おうと思ってたのに、こんなところで言うなんて…」
「どうして…?」
「いや、だって茅ちゃんはまだ高校生でしょ?大学生になる俺と付き合うだなんて無理かなって」
「いや、そうじゃなくて…」
本当に先輩は後輩としての好きな人じゃなくて、付き合うの好きな人ってこと?
先輩の顔を見る。先輩の顔が赤くなっていた。先輩は本当のことを言ってるの?私のことが好き?
「でも、花蓮先輩は?」
「花蓮?今さっき言いそびれたけど、付き合ってないよ」
「なんで…?先輩は、花蓮先輩のこと好きじゃないの?」
「友達としては好きだけど、付き合いたい好きと言われると全く違うよ。それに、花蓮には怖〜い恋人がいるしね」
私の勘違いだったってこと?花蓮先輩に彼氏がいることなんて知らなかった。尚人先輩と付き合っているだなんて知ったら、本当に諦めないといけないって思ったから。
あぁ…やっぱり私は先輩のことが諦めきれなかったんだ。初めての恋だったし、努力だってたくさんした。
「私、先輩は花蓮先輩のことを思ってるって思って諦めようってそう思ってました。でも、違ったんですよね」
心臓がドクドクいってうるさい。さっきまであんなに暗い気持ちだったのが、嘘のようだ。