きみが春なら
◇ ◇ ◇ ◇
騒ぎが起きたのは、更に数日後の事だった。
休憩を終えのんびり庭へと向かう途中、耳を突き刺すような女王様の怒鳴り声に驚いて足を止めた。
同時に人だかりが目に入る。
廊下の端に集まっているのは城で働く仲間たちだ。皆同じ方向を見つめ不安気な顔をしている。
「何だ?」
部下が数人振り返った。先の廊下で女王様に怒られているのはジュリだった。
「ジュリが餌をやっている野良猫が、女王様のドレスを汚してしまったみたいで」
確かに女王様がお召しになっているドレスの裾は、はっきりと泥で汚れていた。よく見るとレースで飾られた部分も破けている。
ジュリは涙を流しながら何度も頭を下げている。
「あなたなんかのお給金じゃ一生かかっても弁償できないくらい、高価なドレスなのよ!?」
「も、申し訳ありませ……」
「謝って済むと思って!?」
遠巻きに見ている俺たちにも気付かないほど、女王様の怒りようは凄まじかった。
「ずっとあの調子か」
「はい」
助けてやりたいが、ここで部外者が口を挟むとますます事態がこじれるのは明白だ。
皆同じ気持ちなのだろう、ちらちら顔を見合わせながら怒りが落ち着くのを待っている。
「── その猫。殺しなさい、今すぐ」
騒ぎが起きたのは、更に数日後の事だった。
休憩を終えのんびり庭へと向かう途中、耳を突き刺すような女王様の怒鳴り声に驚いて足を止めた。
同時に人だかりが目に入る。
廊下の端に集まっているのは城で働く仲間たちだ。皆同じ方向を見つめ不安気な顔をしている。
「何だ?」
部下が数人振り返った。先の廊下で女王様に怒られているのはジュリだった。
「ジュリが餌をやっている野良猫が、女王様のドレスを汚してしまったみたいで」
確かに女王様がお召しになっているドレスの裾は、はっきりと泥で汚れていた。よく見るとレースで飾られた部分も破けている。
ジュリは涙を流しながら何度も頭を下げている。
「あなたなんかのお給金じゃ一生かかっても弁償できないくらい、高価なドレスなのよ!?」
「も、申し訳ありませ……」
「謝って済むと思って!?」
遠巻きに見ている俺たちにも気付かないほど、女王様の怒りようは凄まじかった。
「ずっとあの調子か」
「はい」
助けてやりたいが、ここで部外者が口を挟むとますます事態がこじれるのは明白だ。
皆同じ気持ちなのだろう、ちらちら顔を見合わせながら怒りが落ち着くのを待っている。
「── その猫。殺しなさい、今すぐ」