きみが春なら

Side.M

「ロレンツォ……!?」

ハルを自身の後ろに隠したロレンツォ王子は、女王様を睨みつける。
予定より随分早い帰城に誰もが驚いた。
「い、いつから……そこに」
女王様は、一気に落ち着きをなくし狼狽える。

「── 着替えてこい」

ロレンツォ王子は、いつもより更に低いどすの効いた声でそう言った。刺すような視線は女王様に固定されたままだ。

「お手伝いします。ハル様」
察したジュリがハルの腰に手をまわしその場を去る。

緊迫した雰囲気の中。遠ざかっていく二人の背中を見送る事しか出来なかった。
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