冷遇令嬢、最恐軍医に嫁ぎました~大正深愛綴り~
「……ゅぅし……ん……さま……」
柔らかな寝言が、静寂を淡く揺らした。その響きに、勇心の心が静かにほどけていく。まるで、心の奥を優しく撫でられたような、甘い疼きが広がっていく。
(夢の中に……俺がいるのか?)
笑みが零れそうになるのを堪えながら、勇心は紫乃の体を壊れものでも扱うように抱き上げた。
(なんだ、この軽さは……! 抱き留めた時も軽いとは思ったが、こんなにも軽いとは……。栄養のあるものを食べているはずなのに、だめだ、これでは全然足りぬ。もっと栄養のあるものをたくさん食べさせよう)
書斎を出たところで、紫乃の瞼がかすかに震えた。
「……勇心……様?」
眠気の残る声に、勇心は思わず足を止める。
「……起こしてしまったか」
「夢でも……ぅれしい……」
紫乃の顔が、勇心の胸に埋まる。
それだけで、勇心の鼓動はけたたましく鳴り響いた。
(寝ぼけているのか、俺の理性を試しているのか……)
紫乃の部屋に運び終えた勇心は、寝台にそっと下ろす。
すると、心地いい浮遊感が途絶えたことで我に返ったのか、紫乃が目を見開いた。
「っ……!」