冷遇令嬢、最恐軍医に嫁ぎました~大正深愛綴り~
勇心は躊躇いながら紫乃の唇に、軽く触れるだけの口づけをした。
勇心がそっと唇を離すと、紫乃の瞼がゆっくりと開かれた。
黒目がちの瞳が勇心を捉えると、勇心は思わず視線を逸らした。
「今のは……体温確認だ」
「へ……?」
無骨な男の耳が、ほんのりと赤く染まっていた。そのささやかな変化に、紫乃の胸がきゅうっと疼く。
「……で、どうでしたか……?」
「……ん?」
「私の……体温は……」
「っ……、一瞬だったから……わからぬ。……もう一度確認してみても……いいだろうか?」
「……はい」
(勇心様ったら、医術は素晴らしいのに……女性に関しては、本当に不器用な方なのかも……)
勇心は小さく息を吐き、腕の中の妻に視線を落とす。紫乃の頬に手を添え、唇を重ね、そっと啄んだ。
お互いの唇から熱い吐息が漏れ、静寂がしっとりと甘い熱を帯びていった。