冷遇令嬢、最恐軍医に嫁ぎました~大正深愛綴り~

「……勇心様?」
「……」

 勇心は何も言わず、紫乃をじっと見つめていた。
 その視線に、紫乃の鼓動がまた一つ、強く跳ねる。
 自然と絡み合う視線。
 お互いの瞳に、相手の姿が映る。
 重なり合う指先。
 そして──。

 勇心の顔がゆっくりと近づいてきて、紫乃は静かに瞼を閉じた。
 けれど、触れたのは――額への柔らかな口づけだった。

(っ……、唇にくると思ったのに……違ったみたい)

 少しばかりがっかりしたのもつかの間、瞼に、鼻先に、頬にも……優しい口づけが、そっと降り注ぐ。

(……まるで、お姫様になったみたい)

 勇心の骨ばった大きな手が、紫乃の頬を優しく包み込む。
 そして、ようやく──唇が重なった。

「……っん……っ……」

 徐々に濃密な口づけへと変化し、紫乃の口から甘い吐息が漏れ出す。

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