冷遇令嬢、最恐軍医に嫁ぎました~大正深愛綴り~
湯殿から出た二人は、言葉少なに寝室へと戻る。
湯気のせいか、それとも――触れた体温のせいか。
紫乃の髪から滴る雫を、勇心がそっと指先で拭う。
すると、その手を紫乃はぎゅっと掴んだ。
「もっと、……触れてください」
「そんなに煽られたら、歯止めが利かなくなりそうだ」
紫乃の潤む瞳に白旗を上げた勇心は、彼女の体を優しく寝台に横たわらせ、口づけを落とす。
「……そんな顔をされて、我慢できると思うか?」
「我慢……しなくていい……です」
熱を帯びた吐息が紫乃の唇から漏れ、勇心の鼓動が大きく脈を打った。
「君のすべてを……俺に預けてくれ」
「……はい」
寝台灯に照らされた二人の影が、静かに重なった――。