冷遇令嬢、最恐軍医に嫁ぎました~大正深愛綴り~
朝の光が、障子越しにやわらかく差し込んでいた。
紫乃はまだ夢の中にいるような気持ちで、瞼を押し上げる。
隣には、静かに眠る勇心の寝顔。昨夜何度も見つめたその横顔が、今は穏やかな寝息と共にそこにある。
(……夢では、ないのね……)
紫乃はそっと手を伸ばし、彼の頬に触れた。その温もりに、胸がじんわりと満たされていく。
「きゃっ……!」
突然伸びてきた腕が腰に回され、気づいた時には勇心の大きな胸に抱き留められていた。逞しい胸に顔を埋めていると、自分が“妻”だと実感が湧く。
(ああ、この圧迫感が堪らない……)
(昨夜の柔らかい感触と甘美な声音がまだ残っているというのに……本当に私の妻は……)
お互いのぬくもりに心地よさを感じていた、その刹那。突然部屋の扉を叩く音がした。