冷遇令嬢、最恐軍医に嫁ぎました~大正深愛綴り~
「若旦那様。……そちらに、紫乃様もいらっしゃいますか?」
「あぁ、ここにいる」
「では、朝食のご用意が整いましたら、こちらにお運びいたしますので……」
「そうしてくれ」
声の主はタミだった。紫乃が厨房に顔も出さず、居室にもいないから心配したのだろう。
「私っ、朝ご飯の用意をして参ります! ……うっ……!」
起き上がろうとしたら、体に重い痛みが走った。
「すまない。昨夜は加減ができず、無理をさせてしまったな」
「っ……」
体を引き裂くような痛みは、本当の意味で妻になれた証だと思えば、愛おしいもの。
「今日一日、ゆっくり過ごせ……いいな?」
「……はい」
額に触れるだけの口づけが落とされた。
紫乃は、人生で一番幸せな朝を迎えたのだった。