冷遇令嬢、最恐軍医に嫁ぎました~大正深愛綴り~
勇心の胸に、一抹の不安がよぎる。
絶縁を言い渡されて以来、一度も連絡の寄こさなかった父――晴臣はるおみ。
用事がある時は、使用人を通して、言伝するのが常だった。
「はい、勇心です」
「大尉になったそうだな」
「いえ、まだ中尉です。大尉になるのは来月からなので」
「そんなことはどうでもいい。……たまには、顔を見せに来い。……嫁も一緒にな」
勇心の言葉に、被せるように言い返した晴臣は、小さくゴホンと咳払いした。
「紫乃も……ですか?」
「あぁ」
それだけ言うと、一方的に切られてしまった。
「お義父様は……なんて?」
「顔を見せにこいって……」
「まぁ! よかったですね」
「……よかったのか……?」
納得がいかず、首を傾げる勇心だが、紫乃は父子の和解ができるのではないかと思えてならなかった。
(私も、嫁として認めてもらわねば……)