引きこもり令嬢は皇妃になんてなりたくない!~強面皇帝の溺愛が駄々漏れで困ります~4
「押さえつけていないから気になるわ。それに透けているし……ほら、布越しから今夜は見える脚だってそうよ。私はアイリーシャ様たちみたいに鍛えられた美しい脚はしていないし……」
アイリーシャは魅力的な女性だ。
初の国外公務となった新婚旅行でも支えてくれていた彼女や医療班の令嬢たちも、ああ見えて皇帝に一目置かれた女性魔法師の部隊員である。
身近にいる女性である彼女たちと比べると、少しは鍛えたほうが、体もめりはりがついたり身長も伸びたりしてよかったのだろうかと悩むところだ。
気になりだしたらどんどん気になり、エレスティアは心獣に語って聞かせる。
細かく説明してみせたのにやはり心獣は、聞き届けると「ふーん?」なんて声を出し、またしても首をひねるような仕草をしていた。
「……うーん、子供っぽくないかしら?」
エレスティアは悩み、脚を見下ろした。
「ジルヴェスト様が満足してくれると嬉しいのだけれど……どう思う?」
そう、視線を戻して心獣に言葉を続けた時だった。
「んんっ」
咳払いが聞こえて、エレスティアは肩が小さくはねた。
まさかと思って心獣の背後へと視線を移動したところで、エレスティアは羞恥のあまり叫び声を出しそうになる。
「ジ、ジルヴェスト様っ」
そこには顔をやや斜め下に向けて、口元を手で覆っているジルヴェストがいた。
「は、は、はしたないところを……申し訳ございません……」
彼の心獣が大きすぎて気づかなかった。
というか、心の声が普段のように聞こえてこなかったせいで、気づくのに遅れた。エレスティアは真っ赤になって、そう告げた。
「……いや、実に、かわいい」
彼の声はか細い。それが心の声のままであることは、心獣から何も聞こえてこないこと、そして彼のさらに真っ赤になってしまった顔色からも伝わってきた。
彼の金色の髪は、まだやや湿っていてしっとりと艶があった。
ナイトガウンからは鍛え上げられた胸筋が覗き、なんとも色っぽい。
いや、色香が漂うのは、今夜はナイトガウンの下にズボンが見えないことだろう。
――エレスティアと同じく、下は、何もはいていないためだ。
(な、なんてことを想像したのっ)
はしたない。エレスティアは心臓がどっと鳴り、赤面してたじろぐ。
「わ、私、その、ジルヴェスト様の心獣に話し相手になってもらっていたのは、その、似合わないかしらと気になって」
「大変似合っている。待っている君が期待して、乙女のようにそわそわしている様子も、愛らしすぎてな」
「き、きた……っ」
確かに『期待』に見えたかもしれない。
それは、事実だ。今夜をエレスティアだって心待ちにしていた。特別な夜にしたいという想いはジルヴェストと同じだった。
ジルヴェストが向かってくる。彼の心獣がよけるようにして、数歩下がった。
「それから、衣装を見せて尋ねるのは――心獣ではなく夫である俺にしてほしい。嫉妬してしまう」
そっと向けられてきた彼の眼差しに、エレスティアの胸が大きくはねた。
彼の目を普段よりも美しいと感じた。けれどこれまで心獣を通して『我慢できない』と告げてきた時にも何度か見たことがある。
熱のこもった、愛情深い瞳だ。だからいっそう、特別に美しく見えるのだろう。
「は、はい、次は、必ず……」
「今は尋ねてくれないのか?」
彼の端正な顔に柔らかな微笑が浮かぶ。あきれているような、どこか困ったような表情だ。
「は、恥ずかしくて……」
「夫婦なのに?」
「ジルヴェスト様は年上ですし、私が子供っぽくないかと気になって……」
「君は子供っぽくはない。こんなにも美しいのに」
ベッドに片膝をついたジルヴェストの手が、エレスティアの髪をすくい上げる。
まるで肌に触れられているかのように、エレスティアは自分の胸元にじわじわと温もりが灯っていくような感覚がした。
普段と違って、座り込んだ脚の形から素のままの胸の形さえ見えているだろう。
緊張して胸元に手を引き寄せ、上目遣いにうかがうと、ジルヴェストが優しい笑みを口元に浮かべて言う。
「君は、とても美しいよ」
彼が髪に口づける。
「美しい、だというのに性格までも愛らしくて、つい入り口でしばらく見守ってしまっていたくらいだ」
「そ、そんな恥ずかしくなってしまうようなことは、どうかおっしゃらないで……」
「伝える。いや、ますますそうしようと思った」
「えっ? ど、どうして」
ぱっと視線を彼の顔に戻した瞬間、エレスティアは至近距離から見る彼の深い青の目にとらわれた。
「自分の口で伝えていく。君に安心してもらえるのなら。こうして愛されている喜びに身を震わせるくらい、君に感動してもらえるのなら――言わなければ損だとわかった」
「……っ」
アイリーシャは魅力的な女性だ。
初の国外公務となった新婚旅行でも支えてくれていた彼女や医療班の令嬢たちも、ああ見えて皇帝に一目置かれた女性魔法師の部隊員である。
身近にいる女性である彼女たちと比べると、少しは鍛えたほうが、体もめりはりがついたり身長も伸びたりしてよかったのだろうかと悩むところだ。
気になりだしたらどんどん気になり、エレスティアは心獣に語って聞かせる。
細かく説明してみせたのにやはり心獣は、聞き届けると「ふーん?」なんて声を出し、またしても首をひねるような仕草をしていた。
「……うーん、子供っぽくないかしら?」
エレスティアは悩み、脚を見下ろした。
「ジルヴェスト様が満足してくれると嬉しいのだけれど……どう思う?」
そう、視線を戻して心獣に言葉を続けた時だった。
「んんっ」
咳払いが聞こえて、エレスティアは肩が小さくはねた。
まさかと思って心獣の背後へと視線を移動したところで、エレスティアは羞恥のあまり叫び声を出しそうになる。
「ジ、ジルヴェスト様っ」
そこには顔をやや斜め下に向けて、口元を手で覆っているジルヴェストがいた。
「は、は、はしたないところを……申し訳ございません……」
彼の心獣が大きすぎて気づかなかった。
というか、心の声が普段のように聞こえてこなかったせいで、気づくのに遅れた。エレスティアは真っ赤になって、そう告げた。
「……いや、実に、かわいい」
彼の声はか細い。それが心の声のままであることは、心獣から何も聞こえてこないこと、そして彼のさらに真っ赤になってしまった顔色からも伝わってきた。
彼の金色の髪は、まだやや湿っていてしっとりと艶があった。
ナイトガウンからは鍛え上げられた胸筋が覗き、なんとも色っぽい。
いや、色香が漂うのは、今夜はナイトガウンの下にズボンが見えないことだろう。
――エレスティアと同じく、下は、何もはいていないためだ。
(な、なんてことを想像したのっ)
はしたない。エレスティアは心臓がどっと鳴り、赤面してたじろぐ。
「わ、私、その、ジルヴェスト様の心獣に話し相手になってもらっていたのは、その、似合わないかしらと気になって」
「大変似合っている。待っている君が期待して、乙女のようにそわそわしている様子も、愛らしすぎてな」
「き、きた……っ」
確かに『期待』に見えたかもしれない。
それは、事実だ。今夜をエレスティアだって心待ちにしていた。特別な夜にしたいという想いはジルヴェストと同じだった。
ジルヴェストが向かってくる。彼の心獣がよけるようにして、数歩下がった。
「それから、衣装を見せて尋ねるのは――心獣ではなく夫である俺にしてほしい。嫉妬してしまう」
そっと向けられてきた彼の眼差しに、エレスティアの胸が大きくはねた。
彼の目を普段よりも美しいと感じた。けれどこれまで心獣を通して『我慢できない』と告げてきた時にも何度か見たことがある。
熱のこもった、愛情深い瞳だ。だからいっそう、特別に美しく見えるのだろう。
「は、はい、次は、必ず……」
「今は尋ねてくれないのか?」
彼の端正な顔に柔らかな微笑が浮かぶ。あきれているような、どこか困ったような表情だ。
「は、恥ずかしくて……」
「夫婦なのに?」
「ジルヴェスト様は年上ですし、私が子供っぽくないかと気になって……」
「君は子供っぽくはない。こんなにも美しいのに」
ベッドに片膝をついたジルヴェストの手が、エレスティアの髪をすくい上げる。
まるで肌に触れられているかのように、エレスティアは自分の胸元にじわじわと温もりが灯っていくような感覚がした。
普段と違って、座り込んだ脚の形から素のままの胸の形さえ見えているだろう。
緊張して胸元に手を引き寄せ、上目遣いにうかがうと、ジルヴェストが優しい笑みを口元に浮かべて言う。
「君は、とても美しいよ」
彼が髪に口づける。
「美しい、だというのに性格までも愛らしくて、つい入り口でしばらく見守ってしまっていたくらいだ」
「そ、そんな恥ずかしくなってしまうようなことは、どうかおっしゃらないで……」
「伝える。いや、ますますそうしようと思った」
「えっ? ど、どうして」
ぱっと視線を彼の顔に戻した瞬間、エレスティアは至近距離から見る彼の深い青の目にとらわれた。
「自分の口で伝えていく。君に安心してもらえるのなら。こうして愛されている喜びに身を震わせるくらい、君に感動してもらえるのなら――言わなければ損だとわかった」
「……っ」