†鑑査委員制度†
1、2行目にざっと目を通したところで、柴田先生から声がかかった。
「だいたい目を通しましたか?」
「はい。まだ“発生・歴史”を読み始めたばかりですけど」
「じゃもういいですね。決まりとガイダンスが読み終わっているなら充分ですよ。今日は報告書の書き方を説明するだけですから」
そう言われ、手元の資料をさり気なく持って行かれた。
・・・まぁいいけど。
俺も特に異議は唱えなかった。
「じゃ実物を見ながら説明しますか・・・」
そう言い先生は俺に、机の中に昨日保管した黒のファイルを取り出すように指示し、俺もそれに従う。
「先程見てもらった資料でも分かたと思いますが、“報告概要”は授業や休み時間の様子が主ですね」
俺に適度に目配せをしながら、柴田先生は話しを続ける。
「もちろんプライベートな事も書きますが、特に報告範囲はありませんので、他クラスでも学年が違くとも、書いてくれて構いません」
「それは、結構な数相手に鑑査する事になりますね」
苦笑いを浮かべると、それに柴田先生はすぐに答えた。
「範囲がないとは言っても、あくまで各クラス単位が最優先ですから、あまり気負わなくていいですよ。それに、“L欄”のためにあるような取り決めですから」
まぁ確かに・・・男女の付き合いがクラス内だけではとても収まらないのはよく分かる。
時には学年、学校の枠を超えて繋がりを持つ者も当然いるだろうしな。
納得して頷いたところで、柴田先生はさらに先を続けた。