†鑑査委員制度†
しばしの長考の末、柴田先生は少し意外そうに尋ねた。
「やはり、特殊な環境ですし、瀬川くんも同じ仲間を持つことに魅力を感じますか?」
丁度必要な記入事項をすべて書き終え、俺は先生を見上げた。
「仲間というより・・・効率性の問題で、連携した方が鑑査しやすいように感じたものですから」
仲間という言葉に違和感を覚えつつ、そう答えると、先生は俺が言いたい事を了解したのかあぁと唸りをあげた。
「なるほど、それはいかにも瀬川くんらしい意見ですね。確かに協力体制が出来た方が都合がいいですからね」
瀬川くんらしいってどういう意味だよ?と、若干渋ったが、無視して頷くだけにした。そうしてもう一つ利を唱える。
「幾らクラス単位の鑑査が中心だと言っても、やはりそれはどこか制限されますし、それに、お互い鑑査員だと知っていれば、ここまで徹底して隠さなくても良くなるんじゃないですか?」
「それはまぁありますね」
柴田先生は大いに俺の話しに頷いていた。
「そうですね。実際その通り何ですが、別に鑑査範囲が広いといっても、ただ闇雲になるくらいなら自分のクラスだけで構いませんし、むしろ狭くて結構なんです。それに瀬川くんは少し、心理的な所以を考えていないんじゃないですか?」
そう笑顔で言われ、俺は黙りこんだ。心理的って・・・?
たぶん疑問がそのまま顔に表れたのだろう、明確な答えにたどり着けないでいると、柴田先生は合いの手をいれる。
「仮にも同じ権限を持っている仲間を鑑査するのは、嫌でしょう?」
それは、情があるからとか、そう言う意味あいの話しだろうか?
「僕はクラスメート相手でも鑑査するのは気まずいですよ」
そう答えると、先生は頭を振った。
「後ろめたさの問題じゃありません。瀬川くんやその誰かは、言ってしまえば特殊な権限を持っているわけですよ?」
そこまで言われても、いまいち先生の言いたい事が分からなかった。
再び困惑を顔に浮かべてしまったらしい。
柴田先生は順序立てて、説明を始めた。