音のない世界で、君に恋をする。



後ろをついて歩くと、着いたのは小さな公園。



人が誰もいなくて、静かな世界がもっと静かに感じる。





彼が、一つだけあるベンチに座った。





そういえば、まだお礼を言ってなかった。



慌ててポケットからスマホを取り出し、震える指で打つ。





【助けてくれて、ありがとうございます】



見せるとともに、ぺこっとお辞儀をした。





彼は私を見たあと、画面を見て、眉を寄せる。



そして、また私を見る。





彼の口が動くけど、上手く読めなくて、首を傾げた。





一瞬、ほんの一瞬だけ、彼の表情が変わった気がした。



怒りじゃない、何かを察したみたいな顔。





「……聞こえねぇのか」





その言葉に、恐る恐る頷いた。



……めんどくさいって、思われたかな。





だけど、彼は目を逸らさない。



同情も、哀れみも、ない。



ただ、真っ直ぐ見つめられた。


< 11 / 45 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop