音のない世界で、君に恋をする。
これ以上悟られないように、笑ってみせた。
【慣れてます】
その言葉を見た瞬間、彼の表情がまた変わった気がした。
怒りでもない、悲しみでもない、……悔しそうな顔。
「……慣れんな」
その表情が苦しくて、【どうして助けてくれたんですか】と、慌てて話題を変えた。
「……目、離せなかった」
そう言うと、湊さんがポケットからスマホを取り出した。
「貸せ」
そう言って差し出される手に、訳が分からずぽかんとしていると、手に持っていたスマホを少しだけ雑に奪われた。
私のスマホを何やら弄っている。
少しして、またスマホを手に持たされる。
「いつでも連絡しろ」
それだけ言って、彼は背を向けた。
私はその背中を、ぼーっと見つめていた。
彼の姿が見えなくなって、スマホを開くと、連絡先に【湊】と書かれた項目が増えていた。
夜は静かだ。
でも、胸の奥が、うるさい。
このとき、私はまだ知らない。
あのホワイトブロンドの彼が、私の世界の“音”になることを———