音のない世界で、君に恋をする。
穏やかな時間だった。
何を話すわけでもなく、ただ目を瞑っているだけの湊さん。
だけど、教室よりも居心地が良くて、すごく静かだった。
お弁当を食べ終え、片づけていると、湊さんが立ち上がって私の肩を軽く叩いた。
振り返ると、「チャイム、鳴った」とゆっくり口を動かして教えてくれた。
「……またな」
階段を下りて、それぞれの教室に向かうとき、そう言われた。
その言葉が、すごく嬉しくて。
たぶん湊さんは、いつもあの屋上で過ごしてるんだろう。
だから、そこに立ち入ってしまった自分を、少しだけ責めた。
もしかしたら、邪魔だったかなって……。
だけど、“またな”って言葉が、またあそこに来ても良いって言われてるみたいで。
屋上に居られなくなったら、どこにも居場所が無かったから。
たった三文字の短い言葉だけど、その言葉に心がじんわりと温かくなった。