音のない世界で、君に恋をする。
「いいのか」
絶対に断られると思ったから、予想していなかった反応に、少し驚きながらも頷いた。
すると、「あ」と口をあけたままの湊さんに、目が点になる。
……これは、食べさせろってこと……?!
まさかそこまで考えていなかった私は、顔が一気に熱くなった。
恥ずかしくて、目を見れない。
何も言わない湊さんに少し近づいて、卵焼きを口の中に入れた。
いつもよりも近いその顔に、変に意識して心臓がうるさい。
それなのに、湊さんは何とも思ってないかのように冷静で、少しだけ悔しい。
「うまい」
そう言って、少しだけ目を細めた。
その言葉に、胸の奥が温かくなった。
まださっきの熱が残っている。
顔赤くなったの、バレたかな……。
変なヤツって思われたかな……。
色んな不安が頭の中をぐるぐるしていたけど、湊さんは何事も無かったかのように、缶コーヒーを飲み干して目を閉じた。