音のない世界で、君に恋をする。
湊さんは少し考えてから、ゆっくり口を開いた。
「……ほっとけねぇ」
それだけだった。
だけど、それだけで十分だった。
さっきまでモヤモヤで埋め尽くされて冷たくなっていた心の中が、じんわりと温かくなっていく。
「教室が嫌なら、いつでもここに来い」
なんで、この人はこんなに温かい言葉をくれるの。
私が欲しい言葉を、いつでもくれる。
私の心の中が、透けて見えてるみたいに。
「ここが嫌なら、溜まり場でもいい」
あの日以来、溜まり場には行くことがなかった。
「あいつらも待ってる」
陽翔さんたちの笑顔が浮かぶ。
突然現れた私を、嫌な顔ひとつせず受け入れてくれた。
湊さんの周りは、温かい人たちばかりだ。
私の頭を軽くぽんと叩くと、いつもの場所に戻って目を閉じた。