音のない世界で、君に恋をする。
学校が終わって、いつものように溜まり場に向かう途中だった。
「どこ行くの?」
繁華街を歩いていると、男の声が前から聞こえた。
「ちょっとくらい良いじゃん」
そう言って腕を掴まれる女の子は、繁華街には似合わないくらい大人しそうで、こっからでも小さく震えているのが分かった。
何も言わずに、首を振っているだけの女の子。
ナンパとか初めてなのかな、なんて思いながら、いつもならめんどくせーって素通りする。
でも、一言も発さないその子がなんかほっとけなくて。
気づいたら、男の腕を取って捻り上げていた。
男と距離を取らせるように、震える女の子を後ろにぐっと引っ張る。
「触んな」
そう言って睨みつけると、俺の顔を見て青ざめていく奴ら。
俺は喧嘩が強いと、この辺の街では名を馳せているらしい。
だから、顔を見たけでビビッて逃げていく奴は今までもいた。
怖かったのか、俺の服の裾を掴んでいた女の子と目が合う。
俺は、その瞬間に思わず言葉を失った。