音のない世界で、君に恋をする。
胸のあたりまで伸びる黒髪のストレートヘアに、色白の肌。
ぱっちりとしていて色素の薄い瞳に、唇は血色のいいピンク色。
背は俺の肩くらいまでしかなくて、細い手足に華奢な体。
今にも消えてしまいそうで、思わず息を呑んでしまうくらいに儚かった。
ふと我に返ると、繁華街はまだまだ騒がしくて。
とりあえず静かな場所に移動した。
少し外れたところにある公園のベンチに座り、ポケットからタバコを取り出そうとすると、彼女がスマホをこっちに向けて見せた。
【助けてくれて、ありがとうございます】
その文字に、思考が停止する。
スマホと彼女を交互に見て、頭を整理する。
なんでスマホ?
ありがとうございます……って、喋れねぇのか?
「もしかして、なんかワケあり?」
そう聞くけど、彼女には届いていなかったらしい。
「……聞こえねぇのか」
俺の言葉に首を傾げる彼女に、すぐに理解した。
だからさっきもあんなに怯えてたのか。
声を出して助けを求めないのも、酷いくらいに怯えてた理由も、全て納得した。