音のない世界で、君に恋をする。
教室の後ろで、仲が良かった三人が私のほうを見ながら笑っていた。
「なんかさ、澪って可哀想だよね」
小声なのか、上手く口が読めない。
目が合った私は、ノートを持って二人のところへ向かった。
【なに話してたの?】
ノートを見せると、
「……それがうざいんだよ」
めんどくさそうな顔をした。
「アンタといると、疲れる」
「正直、迷惑なんだよね」
だけど、何を言ってるのか分からない。
【分からないから書いて】
一人が私のノートを奪って、何か書き始めた。
他の二人はニヤニヤしながらそれを見ている。
不安になって、ノートを覗き込む。
目の前に書かれた文字に、言葉を失った。
【耳無しって呼ばれてるよ】
殴り書きで、そう書いてあった。
二人は笑っていた。
悪気は無かったのかもしれない。
私が三人にたくさん迷惑をかけてるのは分かってた。
だけど、いつも笑顔だったから。
私が何度謝っても、“いいよ”って、言ってくれてたから。
三人を、信じていたからこそ、その言葉は、真っ直ぐ胸に刺さった。
それから私は、できるだけ目立たないようにした。
頼らない。
甘えない。
必死に、人に迷惑をかけないように生きてきた。