音のない世界で、君に恋をする。
学校では、屋上で過ごす時間が多かった。
教室はうるせぇし、女子が話しかけてくるからだるい。
だからひとりになりたい時は、いつも屋上へ逃げていた。
授業をサボる時は陽翔たちも一緒のことはあったけど、昼休みだけはひとりで過ごすのが日課だった。
あの日、いつものように昼休みに屋上へ行ったら、澪がいて驚いた。
俺は普段から話すのが得意じゃないけど、澪はそんな俺に何も言わず黙って自分の時間を過ごしていた。
そんな澪との時間を、居心地が良いとさえ思った。
きっとあの様子じゃ、クラスでまともに話せる友達もいないんだろう。
たまに悲しそうな顔をする澪を見て思った。
耳が聞こえない子が普通の学校に居れば、そうなってしまうのはやむを得ないのかもしれない。
でも、何を聞いても絶対に本当のことを言わない。
なんでそんなに必死に隠すのか、不思議だった。
周りに頼ることを、拒んでいる感じだった。