音のない世界で、君に恋をする。
だから、“俺に迷惑かけろ”なんて柄にもないことを言ってしまっていた。
きっと、耳が聞こえないことで周りに迷惑をかけてしまっていると思い込んでる。
澪の過去に何があったかは知らないけど、それは容易に想像できた。
「俺は疲れねぇから」
そう言ったとき、澪の瞳が揺れた。
だけど、必死で泣くのを堪えていた。
……なんでそこまでして強くなるんだよ。
泣きたいときは泣けばいい、助けてほしいときは助けてって言えばいい。
あの頃の燐と同じ。
二人は似てるところがある。
口では大丈夫、平気みたいなことを言うくせに、顔がそうじゃない。
隠してるつもりかもしれないけど、感情が顔に出るタイプ。
顔に助けてって書いてあるのに、それを否定する。
女嫌いは直らないものの、中学の時に比べたらだいぶ丸くなった燐。
俺たちと一緒に過ごしていくうちに、頼るってことを覚えたらしい。
俺たちを信用してくれるようになったし、ちゃんと言葉で言ってくれるようになった。
……いつか澪にも、そうなって欲しいと思った。