音のない世界で、君に恋をする。
あの教室での様子からすると、たぶん俺のことでなんか揉めてたっぽい。
俺が来たとき、“ほんとに来た”とか言ってたし。
歩きながら、さっきの言葉が頭の中をぐるぐるしていた。
……“立場”ってなんだよ。
それは、一年が俺と一緒にいることに対してなのか、それとも……。
屋上に着いて、手を掴んだまま澪と向かい合う。
澪の顔は、複雑そうに揺れる。
明らかに大丈夫じゃないのに、また見栄を張って平気と言っていた。
そんな澪を、俺はどうすれば救ってあげられるのだろうか。
「ひとりじゃない」
そう言うことしか、俺にはできなかった。
その言葉に、澪が少しだけ安心していた気がする。
「俺は、お前がここに来る方が良い」
そんな言葉を誰かに向けて言ったのは初めてだ。
自分でもなんでそんなことを言ったのか分からない。
この言葉を口にしたあと、俺はやっと自覚した。