音のない世界で、君に恋をする。
目を見開く人。
隣の人と何かをしゃべる人。
“まじ?”
“やばくない?”
そんな言葉が見える。
たぶんだけど、いい言葉を言っている人はいない。
先生が隣に立って、私の肩をぽんっと叩いた。
顔を見ると、何か喋っている。
きっと何かフォローでもしてくれているのだろう。
みんながパラパラと拍手をしたので、そのままぺこっとお辞儀をして、席に戻った。
前の席の女子たちが、ちらっとこっちを見たあと、また前を向いて、隣の席の子と何かを喋っている。
居心地が悪くて、俯いた。
……やっぱり、普通の高校でやっていける気がしない。
いくら中二まで聞こえていたとはいえ、今ひとつも聞き取れない私が、聞こえる人たちと一緒の生活を送れるわけがない。
お母さんの意見を無理矢理にでも押し切って、聾学校へ行くべきだった。
まだ始まったばかりの高校生活に、肩を落とした。