花束に囲まれた君が残したもの。

ー流星群ー

みんなで空を見上げながらそれぞれ隣の人と話しながら待っていると、

「待っている間寂しいし、星空に合いそうな曲作ってみたんだ。まだデモ段階なんだけど…よかったら聴いて欲しいな。」

ハギがそう言うと携帯を取りだして頭元に置き、音楽を再生した。

サウンドトラックと言うんだろうか。
心地よいメロディが流れる。

僕はこの時間がなんて贅沢なんだろうと思った。
曲だけじゃない。
みんなで集まったこの時間が貴重で。

同時になぜか少し不安にもなった。
幸せすぎると人は不安になるものなのかもしれない。
僕は首にかかるカメラを握りしめた。

ーこれから日々をカメラに留めていこうー

僕が本格的にカメラを始めようと思った瞬間だった。
そんなことを考えていると「あっ」と誰かの声が上がった。
みんなの話し声が止まった。



『流星群』だ。

数多の星が軌跡を作りながら流れていく。

ー同じ方向に向かうもの、途中で分岐するもの、消えてしまったもの…ー

まるで意思があるかのように流れる星々は、
僕らに何か訴えるように美しさと切なさを映す。



こんなに多くの星を見たのは初めてだった。

僕は急いでカメラを取り出して、シャッターを切った。
スタンド式にて置けば良かったと思ったけど、そんなことは考えている時間もなく、何枚か無作為にシャッターを切った。

星も綺麗だが、僕は星を見るみんなの姿を納めたくて立ち上がって、今度はみんなの写真を取りだした。

あっ、願い事…

僕は慌ててまた空を見て目を瞑った。

ーまたみんなで集まれますようにー
 
山小屋での女子ふたりの話を聞いていた時は
「モテますように」なんて願おうと思ったのに…、
気づいたらそんな願い事をしていた。

着飾ったような言葉…
今までの僕らしくない、けど本心だ。

虫の羽音、
少し冷たい風が揺らす木の葉のかすれる音、
そして、ハギの曲。

流星群が空に映るあいだ、聞こえるのはそんな音ばかりで、僕らの誰の声も響くことはなかった。

ただただこの時が美しさに圧巻されていた。
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