花束に囲まれた君が残したもの。

ー日常になった場所ー

僕らは山小屋に着くとハギ、ツユちゃん、クワは早速セッションを始めた。
それまで観客の僕らは部屋の片付けや持ってきていたお菓子を机に並べていた。

壮行していると、ドタバタと足音が聞こえたあと、扉をがバタンと開いた。

「間に合った?!」

ヒラが汗だくで息を切らしていた。
ズボンはやけに泥だらけだった。

「出待ちされてて急いで走って逃げてきたんだよ…」 
「出待ちって…」
僕は苦笑する。

それを見たツユちゃんは笑いながら言う。

「じゃあそんなバタバタヒラくんも来てくれたところで、そろそろ始めようかなっ。」

ジャーーン

ツユちゃんがギターを鳴らす。

今日のツユちゃんはなんだか男前だ。
髪の毛を全て括ってキャップにしまっているからだろうか。
ギターがとても似合う格好だ。
続いてピアノとドラムの音も鳴り響く。

「みなさん、お集まりいただきありがとうございます。
今宵、演奏するのは、新曲の3曲です。ハギ。」

ツユちゃんはそういうと1歩下がり、ハギに視線を向ける。
 
「まず1曲目は"道しるべ"。
これは僕らのあの夜の前夜祭を綴った曲です。

そして2曲目"空の下で"。
みんなとの空の下のお話。

最後は1番最近作った"交差の十色"。
僕らの学校生活を唄います!」

ハギは普段より大きい声で楽しそうに説明をする。
本当に音楽が好きなんだろうなぁ。
とてもイキイキしている姿はどこか羨ましい気もした。

僕は拍手をしながら

「好きなことがあるっていいなぁ。」
そうつぶやくと、

「写真を撮ってるツッキーも同じ顔してるよ?」

と隣にいたシーちゃんがきょとんとして言った。

そうか。
僕も僕の好きなことを見つけたのか。

みんながみんな好きなものを共有して笑い合う。
そんな日常に僕も溶け込んで。
こんな日常がずっと続けばいい。

ーそう思っていたー
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