花束に囲まれた君が残したもの。

ー月夜の移ろいー

夏休みが終わってから僕らは、学校終わりや休日にあの山小屋を拠点に色々なことをした。

ヒマのDIYの手伝い。
シーちゃんのお絵描き講座。
ヒラはみんなにバスケの鬼特訓(なぜ?)。
たまにユリちゃんが来るとファッション講習が始まる。

そしてツユ、ハギ、クワら相変わらず音を奏でていた。
僕はそんなみんなの姿をカメラに写した。
 
こんなに毎日が充実していていいのだろうか。
幸せだと純粋に思えばいいのにどこか不安を感じてしまう。
とてももどかしい気分だ。

ー10月23日金曜日ー

この日はヒマを中心にハギ、ツユ、クワ、シーちゃんとハンモックを山小屋の中に作っていた。
正直ハンモックだけならそんなに人数は必要が無い。

ハンモック作りはただの口実であって、目的は山小屋でみんなで過ごすことだった。

僕はハンモックを作り終えて少しゆっくりしたあと、そろそろ帰るわ…そう言って家に帰った。
その後は自分の部屋で受験勉強をしつつも、休憩がてらアニメを見たりして過ごしていた。

月の光が部屋の小窓から入ってくる。

高校は特別良いところに受かろうとは思ってはいないが、高校生にはなりたいと思っているわけで、勉強も怠らないように気をつけてはいる。

まあ高校や大学はさすがにみんな違うんだろうな。

そう思うと今のこの時間がいかに大切か、月に雲がかかり朧気になった光のせいか夜の少し寒さのせいかしんみりと感じる。
  
何時間か勉強した後に休憩しようかと伸びをしていると、携帯電話が鳴った。

相手はヒマだった。
電話なんて珍しいな。いつもならメッセージなのに…
そう思いながら電話に出る。

「もしもし?」
電話越しには泣きじゃくるヒマの声があった。

「ツバキ…」

久々に名前で呼ばれたことに僕は不安を覚えた。

「ハ…ハギくんが…」

その後僕が何を話したか、どう動いたのか覚えてない。
無我夢中になって外に出たのは知っている。

落ち着いて自分の部屋に戻った時には机の上に置いてあったカメラが無惨に床に落ちていた。
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