花束に囲まれた君が残したもの。

ーツユの想いー

ーーー

「ツユお姉さん、ちょっとお手洗いってきます。」

ハギの妹さくらはそう言って静かに病室の扉を閉める。
ハギとツユだけの部屋になった。
  
「ねぇ。なんでハギがここに来るの。私より先に来ないでよ…。」
ツユは涙ぐんでハギを見る。

目の奥には怒りも隠れていた。
ツユがどうしても言いたかった言葉だった。

「約束したじゃん。ここには来ないでって。」
 
扉が開く音がする。

「ツユさん。そろそろ病室に戻りましょう。」

扉の前にいたのは先程の看護師だった。

「…わかってます。それと先程はご配慮ありがとうございます。妹さん戻ってきたら部屋に戻ります。」
ツユは微笑みながら答えた。
 
「…わかったわ。」

そういうと看護師はそっと部屋を出ていった。
すれ違いで妹さんが戻ってくる。

「…なんで看護師さんいたんですか?」

不思議そうに看護師さんを見た妹さくらはツユに聞いた。
 
「…ハギの容態は大丈夫ですか?って確認しに来てくれただけだよ。」
 
ツユは髪の毛を少しいじりながら答える。
嘘をつくこと自体の罪悪感を緩和させるようだった。
 
「そうなんだ…」
そういうと妹さくらはまたハギの隣に座る。

「さくらちゃん。ゴメンね、さっき親から連絡あって、私も…家に戻ってくるように言われちゃった。」

ツユはまた髪の毛をいじりながら、眉をひそめて話す。
 
「そっか…私は大丈夫!ツユお姉さんが一緒にいてくれてちょっと気持ちが落ち着いたよ。本当にありがとうございます。」

そんな妹さくらはまた深々とお辞儀をする。

「またね。」

ツユは病室から出ていく。
そして自分の病室へ向かって暗い病院の廊下を歩いていった。

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