花束に囲まれた君が残したもの。

ーここで育った僕らー

旭中学校。
石に刻まれた校舎名の苔や校舎の周りの草木は昔に比べて生い茂ったように見えた。

校舎の門は半分開いていた。 

「誰か先に来てるかも。」 
そう呟いて校舎へ向かう。

ヒマは楽しそうに携帯のカメラで校舎の写真を撮っていた。
 
「なんか悪いことしてるみたいだね。」 

ヒマはそう言うとニヤっとひと笑いして、下駄箱の並ぶ玄関を通り、校舎内に入る。

扉が空いてたり閉まってたりする下駄箱、玄関から中庭に向けて吹く風、ポタッと水が落ち静かに響く水道、廊下は窓からの光で縞模様に見える。 

「この感じ…意外と覚えてるものだなぁ。」 
僕は呟きその場で少し佇む。

ヒマは相変わらず急かしく、校内の写真を写真家の構えのように興奮気味に撮っていた。 

「写真家が本職なのは僕の方なのに。」 

僕はそんな興奮気味の彼女の姿をカメラに1枚納めた。

お互い写真を撮り終えると奥へ向かい階段を上る。
2年B組。僕らの向かう教室は3階だ。 

「階段昇ったら…体力の衰えを…感じちゃって…。」

そう言うヒマの笑顔はいつの間にか無くなってた。
3階に着いた時、僕もヒマも息切れをしていた。
中学生の体力がとても羨ましく感じた。

少し休んでいると廊下に懐かしい声が響いていた。
 
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