花束に囲まれた君が残したもの。

ー空を見上げてー

次の日、寒くて目覚めると普段と違う光景だった。

「ここは…」
ムクっと起き上がる。

山小屋にいた。

「あれ…」
 
隣にはヒマの姿があった。
まだ眠っている。
僕は頭の上に放置された携帯を見つけ画面を見る。

12月10日木曜日朝6:00

「木曜日…!」

 僕は慌てて寝ているヒマを勢いよく起こす。

「おい、ヒマ起きろ、学校。学校だぞ。」
「むにゃママ…まだ大丈夫…」

ヒマは寝返りを打ちながら呟いた。
僕のヒザを枕にし始めた。
僕は「誰がママじゃい!」と言ってヒマの頭に間髪入れずチョップをした。
 
「い…痛い。」
 
ヒマは頭を抑えて眠たげな顔で僕を見る。

昨日結局、夜遅くまでお互いに気を紛らすように部屋の装飾をし続けた。
そしていつの間にか疲れて眠ってしまっていた。

朝寒さで早い時間に起きれたこと、冷えた風のおかげでランプの火が自然に消えていて大事にならなかったことだけ幸いだった。

まだ学校に間に合う時間だ。
僕は寝ぼけ眼のヒマを連れてデコレーションされ尽くした部屋を後にした。

今度ここに来る時はクリスマスのときだろうか。
その時は動画も一緒にお披露目できるだろう。
そう思いながら朝露で濡れた山道を降りていった。

山道をぬけて道路に着くと朝日が登り始めていた。眩しい光に目を細めた。

「うへぇ。眩しいよぉ。」

ヒマが大袈裟に手のひらで目を覆う。

その仕草がいつものヒマらしくて僕は少し安心した。

「眩しいなぁ。」

僕もヒマの仕草を真似をする。
ヒマは驚いた顔をした後ニコッと微笑んだ。

ー共有することは大事なんだ。
 
辛いこと、感じたこと、良かったこと。
ひとりで溜め込まないで、口にしたり、動いてみたり。
ひとりで背負おうと表面だけの結びに囚われて忘れてしまっていた。

それか僕自身が弱くて逃げていたのかもしれない。

「なんだか気が楽になった…。」

もっと話そう。語ろう。叫ぼう。

僕らは少しの間、朝日を手の指の間から覗くようにして見ていた。

「えっと…なにやってんだ…?」

この後たまたま朝練で学校に行こうと通りかかったヒラに説明するのはとても大変だった。

クリスマスのことはサプライズだし…
朝早い時間に男女で顔を覆いながら朝日を見ていたこの状況の理由をなんて説明しようか…。
 
焦って何とか説明したが、理解してくれたのは4割くらいだろうか。

「わかった。お2人さんほんとお似合いだ。」

そう言い残してヒラは学校に向かった。
…多分全然わかってない。
でも見られたのがヒラで良かったとも思った。
他の人だったらもっと説明つかなかっただろう。

僕らは諦めてお互い1度家に帰ったあと、それぞれ学校へ向かった。
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