意地悪な副社長に狂うほど愛される
初デート
私は緊張で待ち合わせ場所の駅に30分も前に来ていた。
5分前に高級車が1台入ってくる。
副社長だと、すぐにわかった。
副社長は慣れた手つきで助手席に私を案内した。
「ありがとうございます」
「緊張してるの?」
副社長はクスッと笑う。
「少しだけ」
「そう、俺もだよ」
私は副社長を見た。
優しい笑みを向けられ胸が高鳴った。
それから私たちは横浜中華街に向かった。
これはアプリのストーリー通りの展開だ。
並んで食べ歩きをしていたが、私は思わず笑ってしまう。
「なんで、笑う?」
「だって、副社長、似合わなすぎて」
食べ歩きがこんなにも似合わない人がいるのかってくらい似合っていなかった。
「初めてしたからな」
「でしょうね」
私がクスクス笑いながらダージーパイをもぐもぐしていると副社長が良い香りのするハンカチで私の口を拭いた。
「え」
「口についてる」
「やめてください! 恥ずかしい! それにハンカチが汚れちゃう!」
私が距離を取ると副社長は楽しそうに笑う。
こんなシーンはアプリにはなく、私はドキドキしていた。
「あなたたち、占いしない? 今日、すごい先生来てるよ」
食べ終わるのを見計らったかのように占いの館と書かれた店舗前にいた女性が私たちの行手をふさいだ。
ちらりと副社長を見ると肩をすくめる。
「どうする?」
私は占いの館と書かれた赤い看板を見上げた。
「アプリにない展開だな」
副社長が小さく笑った。
「そうですね……」
「じゃあ、やめとく?」
そう言われると、なぜか少しだけ残念な気がした。
私は少し考えてから、そっと言う。
「……せっかくだから、やってみます?」
副社長はふっと笑った。
「いいよ。面白そうだ」
「こっちこっち!」
スタッフに引っ張られ、私たちは店の中に入った。
店内は外の賑やかさが嘘みたいに静かで、薄暗かった。
どこか甘いお香の香りが漂っている。
奥のカーテンの向こうから、低い声がした。
「……入っておいで」
カーテンを開けると、そこには、年配の女性が1人座っていた。
長い髪をゆるく束ね、こちらをじっと見ている。
「座って」
私と副社長は並んで椅子に座った。
占い師は私たちの顔を交互に見て、ふっと笑った。
「面白いわね」
「……何がですか?」
私が聞くと、占い師は机の上にカードを広げながら言った。
「あなたたち、まだ始まってもいないのに」
カードを1枚、ぱたりとめくる。
「もう運命に巻き込まれてる」
思わず副社長の方を見る。
副社長も、珍しく少しだけ真面目な顔をしていた。
「それって……どういう意味ですか」
私が聞くと、占い師はゆっくりと微笑む。
「この人と関わるとね」
彼女は指先で副社長を指した。
「あなたの人生、大きく変わるわよ」
胸がどくんと鳴った。
「いい意味で?」
恐る恐る聞くと、占い師は肩をすくめた。
「それはあなた次第」
そして、もう1枚カードをめくる。
「ただし」
占い師の目が、まっすぐ副社長に向いた。
「この人、最初から本気ね」
「え?」
思わず声が出た。
横を見ると、副社長は黙っていた。
けれど次の瞬間、静かに笑った。
「占いって怖いな」
「当たってる?」
占い師が面白そうに聞く。
「……さあ、どうだろう」
副社長は占い師に笑みを浮かべた。
そしてテーブルの下でそっと、私の手に触れた。
5分前に高級車が1台入ってくる。
副社長だと、すぐにわかった。
副社長は慣れた手つきで助手席に私を案内した。
「ありがとうございます」
「緊張してるの?」
副社長はクスッと笑う。
「少しだけ」
「そう、俺もだよ」
私は副社長を見た。
優しい笑みを向けられ胸が高鳴った。
それから私たちは横浜中華街に向かった。
これはアプリのストーリー通りの展開だ。
並んで食べ歩きをしていたが、私は思わず笑ってしまう。
「なんで、笑う?」
「だって、副社長、似合わなすぎて」
食べ歩きがこんなにも似合わない人がいるのかってくらい似合っていなかった。
「初めてしたからな」
「でしょうね」
私がクスクス笑いながらダージーパイをもぐもぐしていると副社長が良い香りのするハンカチで私の口を拭いた。
「え」
「口についてる」
「やめてください! 恥ずかしい! それにハンカチが汚れちゃう!」
私が距離を取ると副社長は楽しそうに笑う。
こんなシーンはアプリにはなく、私はドキドキしていた。
「あなたたち、占いしない? 今日、すごい先生来てるよ」
食べ終わるのを見計らったかのように占いの館と書かれた店舗前にいた女性が私たちの行手をふさいだ。
ちらりと副社長を見ると肩をすくめる。
「どうする?」
私は占いの館と書かれた赤い看板を見上げた。
「アプリにない展開だな」
副社長が小さく笑った。
「そうですね……」
「じゃあ、やめとく?」
そう言われると、なぜか少しだけ残念な気がした。
私は少し考えてから、そっと言う。
「……せっかくだから、やってみます?」
副社長はふっと笑った。
「いいよ。面白そうだ」
「こっちこっち!」
スタッフに引っ張られ、私たちは店の中に入った。
店内は外の賑やかさが嘘みたいに静かで、薄暗かった。
どこか甘いお香の香りが漂っている。
奥のカーテンの向こうから、低い声がした。
「……入っておいで」
カーテンを開けると、そこには、年配の女性が1人座っていた。
長い髪をゆるく束ね、こちらをじっと見ている。
「座って」
私と副社長は並んで椅子に座った。
占い師は私たちの顔を交互に見て、ふっと笑った。
「面白いわね」
「……何がですか?」
私が聞くと、占い師は机の上にカードを広げながら言った。
「あなたたち、まだ始まってもいないのに」
カードを1枚、ぱたりとめくる。
「もう運命に巻き込まれてる」
思わず副社長の方を見る。
副社長も、珍しく少しだけ真面目な顔をしていた。
「それって……どういう意味ですか」
私が聞くと、占い師はゆっくりと微笑む。
「この人と関わるとね」
彼女は指先で副社長を指した。
「あなたの人生、大きく変わるわよ」
胸がどくんと鳴った。
「いい意味で?」
恐る恐る聞くと、占い師は肩をすくめた。
「それはあなた次第」
そして、もう1枚カードをめくる。
「ただし」
占い師の目が、まっすぐ副社長に向いた。
「この人、最初から本気ね」
「え?」
思わず声が出た。
横を見ると、副社長は黙っていた。
けれど次の瞬間、静かに笑った。
「占いって怖いな」
「当たってる?」
占い師が面白そうに聞く。
「……さあ、どうだろう」
副社長は占い師に笑みを浮かべた。
そしてテーブルの下でそっと、私の手に触れた。