意地悪な副社長に狂うほど愛される
弟への脅威
副社長室では駿が何事もなかったように仕事をしていた。
ドアがノックされ顔をあげると受付嬢が顔を出す。
「お兄様をお通し、しました」
言い終わるか、終わらないかのうちに不機嫌な顔をして頼が入ってきた。
受付嬢が頭を下げて去ると、頼はどかっとソファに座る。
駿は顔色を一切、変えることなく頼の前に座った。
「次期社長はお前で決まりのようだ」
「でしょうね」
頼の頬骨あたりがピクっと反応した。
駿は顔色を1つ変えない。
「昔のように殴って服従させますか?」
駿が浮かべた笑みに頼は息を止めた。
ソファを背中に預けることで何とかリラックスしようと試みる。
いつから弟にこんなにも恐怖を抱くようになったのだろうかーー
俺は長男だから後継になることが生まれた瞬間から決まっていた。
子供の頃から御堂の坊ちゃんとしてチヤホヤされ、大人たちのゴマスリを見てきた。
俺は特別なんだと思っていた。
それは弟が生まれても変わらなかった。
俺は勉強なんてしなくても、決められたレールがあった。
しかし弟は違う。
弟は兄を超えられない。
いずれ俺の下で働くだけの存在。
脅威ではなかった。
弟は優秀だった。
俺が全く勉強が出来なくても母は何も言わなかった。
「まあまあ!」
母の聞いたこともない華やかな声がリビングに響いた。
「駿ちゃん! すごいわぁ!」
そう言って母が弟を抱きしめた。
それは中学受験を2年後に控えた弟の初めての模試の結果だった。
弟は全国1位を取ったのだ。
しかし弟はまだ5年生になったばかりで、勉強は元々出来ていたから何を母がそんなに喜ぶのか、わからなかった。
ただ弟に対してハッキリとした嫌悪がそこにあった。
それからというものの、ありとあらゆる手を使い弟に嫌がらせをした。
それでも弟が俺を見る目が気に食わなかった。
俺が社会人になった時だった。
俺たち兄弟が父に呼ばれた。
「頼は次期社長になる、そのために励め」
俺は驚いた。
父の中では優秀な弟に継がせるという考えは微塵もなかったのだ。
「駿は兄を支えるんだ」
俺はちらと弟を見た。
弟が悔しそうな表情を浮かべていた。
その瞬間、俺は最高の喜びを感じたのだ。
それから俺は弟を放っておいた。
自由になったのだ。
ようやく弟の脅威から逃れることができたのだ。
しかし4年後。
弟が入社すると事態は一変した。
奴は大学4年間で準備していたのだ。
弟に与えられた業務は廃業処理。
祖父が最初に始めた事業である旅行会社に入社した。
しかし弟はグループ全体に手を出した。
父に助言をし弱かった海外の会社とのパイプをもたらしたのだ。
功績を称える父の弟を見る目はあの時の母と同じだった。
俺は焦った。
だから次々と弟のやることを自分の手柄にした。
弟が俺が横取りをしていることに気が付いた時には、もう父からの信頼を得ていた時だった。
「次期社長は頼だ」
父が夕食の席で言った。
弟はそれ以来、何かを諦めたようだった。
俺と権力争いをすることに疲れたようだった。
これで終わる、終わりだと思っていたのに、息を吹き返したのだ。
「おい、会長の母校で何があった」
俺の質問に弟は意味深に微笑んだ。
「そうですね、俺も社長の座が欲しくなったって感じですかね」
それ以上は何も教えてくれなかった。
そして今日まで弟は息を吹き返したように社長の座を狙ってくる。
それは脅威以外の何ものでもなかった。
ドアがノックされ顔をあげると受付嬢が顔を出す。
「お兄様をお通し、しました」
言い終わるか、終わらないかのうちに不機嫌な顔をして頼が入ってきた。
受付嬢が頭を下げて去ると、頼はどかっとソファに座る。
駿は顔色を一切、変えることなく頼の前に座った。
「次期社長はお前で決まりのようだ」
「でしょうね」
頼の頬骨あたりがピクっと反応した。
駿は顔色を1つ変えない。
「昔のように殴って服従させますか?」
駿が浮かべた笑みに頼は息を止めた。
ソファを背中に預けることで何とかリラックスしようと試みる。
いつから弟にこんなにも恐怖を抱くようになったのだろうかーー
俺は長男だから後継になることが生まれた瞬間から決まっていた。
子供の頃から御堂の坊ちゃんとしてチヤホヤされ、大人たちのゴマスリを見てきた。
俺は特別なんだと思っていた。
それは弟が生まれても変わらなかった。
俺は勉強なんてしなくても、決められたレールがあった。
しかし弟は違う。
弟は兄を超えられない。
いずれ俺の下で働くだけの存在。
脅威ではなかった。
弟は優秀だった。
俺が全く勉強が出来なくても母は何も言わなかった。
「まあまあ!」
母の聞いたこともない華やかな声がリビングに響いた。
「駿ちゃん! すごいわぁ!」
そう言って母が弟を抱きしめた。
それは中学受験を2年後に控えた弟の初めての模試の結果だった。
弟は全国1位を取ったのだ。
しかし弟はまだ5年生になったばかりで、勉強は元々出来ていたから何を母がそんなに喜ぶのか、わからなかった。
ただ弟に対してハッキリとした嫌悪がそこにあった。
それからというものの、ありとあらゆる手を使い弟に嫌がらせをした。
それでも弟が俺を見る目が気に食わなかった。
俺が社会人になった時だった。
俺たち兄弟が父に呼ばれた。
「頼は次期社長になる、そのために励め」
俺は驚いた。
父の中では優秀な弟に継がせるという考えは微塵もなかったのだ。
「駿は兄を支えるんだ」
俺はちらと弟を見た。
弟が悔しそうな表情を浮かべていた。
その瞬間、俺は最高の喜びを感じたのだ。
それから俺は弟を放っておいた。
自由になったのだ。
ようやく弟の脅威から逃れることができたのだ。
しかし4年後。
弟が入社すると事態は一変した。
奴は大学4年間で準備していたのだ。
弟に与えられた業務は廃業処理。
祖父が最初に始めた事業である旅行会社に入社した。
しかし弟はグループ全体に手を出した。
父に助言をし弱かった海外の会社とのパイプをもたらしたのだ。
功績を称える父の弟を見る目はあの時の母と同じだった。
俺は焦った。
だから次々と弟のやることを自分の手柄にした。
弟が俺が横取りをしていることに気が付いた時には、もう父からの信頼を得ていた時だった。
「次期社長は頼だ」
父が夕食の席で言った。
弟はそれ以来、何かを諦めたようだった。
俺と権力争いをすることに疲れたようだった。
これで終わる、終わりだと思っていたのに、息を吹き返したのだ。
「おい、会長の母校で何があった」
俺の質問に弟は意味深に微笑んだ。
「そうですね、俺も社長の座が欲しくなったって感じですかね」
それ以上は何も教えてくれなかった。
そして今日まで弟は息を吹き返したように社長の座を狙ってくる。
それは脅威以外の何ものでもなかった。