意地悪な副社長に狂うほど愛される
私は頭に血が上っていくのがわかった。
体中が沸騰しているようだ。

「馬鹿にしないでください」
「は?」

私は秘書と社長を交互に睨み付けた。

「寄付をしたいなら、ご勝手にどうぞ。私は支援をやめないし、私は勝手にやります。私の実家を餌にしないでください!」
「実家か」

社長は鼻で笑った。

「何度もお伝えしまたが、私と副社長はお付き合いをしていません。でも私が目障りなら遠くに飛ばして下さい。仕事がなくなるのは困るけれど、副社長から離れることは出来ます。それで満足してくださるなら」
「そんなことしても無意味だろう」
「そうでしょうか? 私が仕事を辞めるより私が御堂グループに所属している方が管理できるのでは?」

秘書は社長を見た。
社長は私を見たまま、何か思案している様子だ。

「私の異動については誰にも知られないようにして、退職したことにすれば良いのではないですか? もちろん副社長にも、そのように伝えるようにして」

そうすれば副社長から離れられる。

「婚約者がいることは知っています。私は邪魔をするつもりはないですし、消えて欲しいなら喜んでそうします」

言ったあと胸が締め付けられるような痛みが走った。

結局、社長はしぶしぶ私の要求をのんだ。
私は副社長に近づかないという書類にサインすることになった。

これでよかったのだーー

副社長がいったい何を考えているのか、わからないけれど私は彼のいない世界に行く。
私は他県の工場へ異動となった。
総務部の人たちには退職と伝えることになった。

「いきなりで寂しいわ」
「ごめんなさい」

佐々木さんは本気で私を心配してくれているようで胸が痛かった。
何も説明できないし、嘘をつくことが悲しかった。

私の引っ越しなどは会社が手配してくれて、余程、早く私を副社長の前から消したかったのか、社長と会ってから今日まで、たった3日だった。
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