意地悪な副社長に狂うほど愛される
「あゆ美さんが羨ましいですね」

駿がすべてを正直に話すと凜華は笑顔になった。

「協力はしたくなくなりました」
「そんなことは期待していない」
「結婚は私としてもらいます」
「え?」

駿は面食らった。

「私は、あなたのことが好きなんです」
「なんで」
「うーん、そうですね、顔がタイプだからかな」

駿は呆れたように笑った。

「俺はキミに恋愛感情を持つことはない」
「あゆ美さんを愛人にしても構いませんよ」
「は?」

駿は凜華を睨み付けた。

「そんな顔はあなたには似合わなくてよ」

凜華は食べ終わった皿にフォークをらしくなく乱暴に置くと立ち上がった。

「では、また会いましょう」

駿を残して立ち去った。
残った駿は残った紅茶を一気に飲み干した。


エレベーターの中で凜華に執事の村田が声を掛ける。

「お嬢様、本当にあの男でいいんですか?」
「なんで?」
「後ろで話を聞いていましたが、他の女に惚れています」
「いいじゃない、別に」
「でも」

凜華は村田を振り返る。
村田はビクッとした。
凜華の顔が鬼の形相だったからだ。

「お、お嬢様」
「だったら、あなたが私の結婚を止めなさいよ!」
「そんなこと僕には・・・・・・」

エレベーターの扉が開き、「意気地無し」とボソッとつぶやいて凜華はさっさと出て行った。
「お嬢様」

店を出て車に行くまでに村田は凜華の腕をとった。

「何を怒っていらっしゃるんですか」
「私、大嫌いなのよ! 好きなくせに何もしない奴!」
「それは・・・・・・誰のことを・・・・・・」

凜華は村田を睨み付けた。

「あの男のことよ! 御堂駿! 何もしないなら、私は彼らの邪魔をする!」
「お嬢様・・・・・・」
「結局、男って何もしないで待ってるだけじゃない! 手遅れになった時はもう遅いってわからせてやるわ!」

そう言うとドアを開けて待っていた運転手の前を勢いよく通り、車の中に入った。
村田はため息をついて、運転手に首を振った。
運転手は後部座席のドアを閉めて、村田は助手席に乗り込んだ。
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