意地悪な副社長に狂うほど愛される
新しい連絡先を啓太に伝え、奈々子先生に挨拶を済ませたあと私たちは施設を出た。

「送っていくよ、俺、車で来てるから」
「ありがとう」
「そういえば腹も減ったな。食事でもしていくか?」

会社にまだ勤務していることを啓太に伝えた方がいいだろうか。

「あのね、啓太」
「ん?」

施設を出た時だった。

「そんな」

冷たいものが背筋を駆け下りた。
啓太も私の視線の先に気がついた。
道路を挟んで反対側に車から出てくる副社長の姿があった。

「あのやろっ」

そう言って啓太が副社長に向かって道路に出た時だった。
凄まじいクラクションの音。

「啓太!」

私は身体が勝手に反応して啓太を押していた。
同じ瞬間、激しいクラクションと共に身体に重たい鉄の塊がぶつかった。

「あゆ美!」

アスファルトの地面に叩きつけられた。
啓太の叫ぶような声を最後に意識を失った。
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