第5部 夜明けが世界を染めるころ、悪意の見える伯爵令嬢は王子の執着から逃れられない

「オリバー、抑えるぞ」

「了解だ、ルーク団長」

「――強く、硬く、ヘマタイト!」

オリバーの魔宝石が黒鉄のように光を帯び、
重く沈む力が剣身へと流れ込む。
その一歩だけで、床石がわずかに沈んだ。

「エリック、後衛の結界を補強する」

「任せてください」

「冷たく清く、ブルーサファイア」

エリックの魔宝石が淡い青光を放ち、
その光は冷静さと精密さを宿して広がる。
空気が澄み、魔宝獣の邪気が押し返されていく。

揃った瞬間――
戦場の空気が、はっきりと変わった。

圧が増す。
魔宝獣が本能で後ずさるほどの“気”が満ちる。

「……心強いな」

剣を構え直す。
紅と翠の光が並び立ち、前線に2つの柱が生まれた。

「では行こう。
――ここからは、反撃だ」

魔宝獣の咆哮が響く。
だが、その声を押し返すように――
騎士たちの気迫が、戦場を支配した。
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