第5部 夜明けが世界を染めるころ、悪意の見える伯爵令嬢は王子の執着から逃れられない
迷宮が悲鳴を上げるように揺れ、
壁が波打ち、天井が崩れ始めた。

「こっちです!」
セナが叫ぶ。

ディランは私を抱えたまま走り続ける。
その姿を見て、レオが慌てて叫んだ。

「ねぇやっぱりさ! 殿下もその状態でお嬢さん抱えたら危なくない!?」

「大丈夫だ」
ディランは即答する。

「レオちゃんは黙って走りなさい!」
ルイが容赦なく怒鳴る。

「あと絶対罠にかからないでよね!
今度かかったら、まじで置いていくからね!!」

「ひどくない!?」
レオが涙目で抗議する。

その横でレイが冷静に眼鏡を押し上げた。

「セナさん、そこ左です」

「了解です!」
セナが鋭く曲がる。

そのタイミングで、ディランが私に小声で言った。

「ティアナ、重くないから安心して」

「それ言わなくていいから!!」

「仲良いな! 2人とも!」
レオが笑いながら叫ぶ。

「今それ言う!? 真面目に走れ!!」
テオが全力でツッコむ。

崩れゆく迷宮の中、
私たちは叫び合いながら、
それでも息を合わせて出口へ向かって駆け抜けた。
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