第5部 夜明けが世界を染めるころ、悪意の見える伯爵令嬢は王子の執着から逃れられない
見つめ合っていると――
「あーほら、やっぱり」
テオの声が聞こえた。
「やだーここ良いところじゃない!花火よく見えそう!」
ルイが嬉しそうに言い、
「でっか!今の見た!?すごくね!」
レオが空を指さしてはしゃぐ。
「レオ、うるさいです」
セナが冷静に突っ込む。
「お嬢様、すみません。お邪魔しちゃって」
ユウリが申し訳なさそうに微笑む。
「お嬢様失礼します」
アリスもスッと現れる。
「殿下……すぐパーティから抜け出さないでください」
レイがメガネをくいっと上げる。
「……なんでいるんだ」
ディランが苦笑した。
「狼にお嬢様が食べられたら大変だからねー。
お嬢様、ほら花火見よ!」
テオがしれっと私の横に入り込む。
「あ、おい」
ディランが私の手を取ろうとすると――
今度はセナがすっと間に入った。
「ほら。綺麗ですね。
一緒に見ましょう」
棒読みだ。絶対わざとだ。
「しれっと間に入るな。全く」
ディランが小さくため息をつく。
「見て見て!お嬢さん!
今のあれ、ドラゴンかなぁ!」
レオがこちらを振り返る。
「ドラゴンって……思い出したくないわね」
ルイが肩をすくめる。
「ほんとに賑やかですね」
ユウリが言い、
レイも静かに頷いた。
花火の音と、
みんなの笑い声が夜空に響く。
その光景が、胸にじんわりと広がった。
ふとディランを見つめる。
私の視線に気づき、優しい笑顔を向ける。
――この先も、ずっと。
みんなと一緒にいられますように。
そっと願いを込めて、
夜空に咲く光を見上げた。
第5部 完結