清く正しく美しく

一緒に

「琴葉さん!お疲れさま」



 琴葉が講義を終えて待ち合わせ場所に向かおうと大学内を歩いていると、校門のところで手を挙げる理玖を見つけた。



「月島くん!どうしてここに?」




 琴葉が慌てて駆け寄ると、理玖が琴葉の持っているバッグを持ち、優しく微笑んでから琴葉の手を取った。




「休講になったから迎えにきたんだ。びっくりした?」




「はい、とっても!早くお会いできて嬉しいです」




「よかった」




 理玖は声を弾ませて歩き出した。繋いだ手から指が絡んできて、より密着した身体に胸が高鳴った。




 思わず見上げたら、優しく笑う理玖と目が合って、顔がどんどん熱くなっていく。恥ずかしくなって少し視線を逸らしたら、理玖の唇が目に飛び込んできて、さらに顔が熱くなってしまった。




「琴葉さん、可愛いね」




「へっ!?」



 何だか理玖の纏う空気が甘い気がする。髪型や洋服を「似合ってる」と褒めてくれることはあっても、こんな風に可愛いなんて言われたことは今までなかった。




「今日、どこか行きたい所はある?」




「月島くんは?」




「特にないなら、よかったら家に来ない?」




 琴葉は目を見張った。顔が少し赤い理玖と目が合い、途端に落ち着かなくなった。





 嫌だと思う気持ちは微塵もないけれど、否応なくあの夜のことを思い出して、期待してしまう。




「・・・・・・はい。お邪魔でないなら」




「邪魔なわけないでしょ。琴葉さんならいつでも大歓迎だよ」




「ありがとうございます。嬉しいです」





「何か食べたい物ある?俺が作れる物になっちゃうけど」





「月島くんは普段何を作るんですか?」





「ザ・男料理って感じのやつ。チャーハンとか野菜炒めの確率が多いかな」




 琴葉は少し考えた。理玖がひとり暮らしをはじめたと言っていた時からしてみたいことがあるけれど、言ってもいいのだろうか。




 横目で理玖のことを窺うと、優しく微笑む理玖と目が合い、心臓が飛び跳ねた。ドキドキしすぎて胸が痛くなってきたので、慌てて顔を伏せる。





「よかったら・・・・・・なんですけど、一緒に作りませんか?」




「え?」




「一緒にお買い物に行って、何を作るか考えて、一緒に作りたいです」




 今度こそ目を逸らさないと心に決めて顔をあげると、少し赤い顔を繋いでいない方の手の甲で隠す理玖がいた。





「月島くん・・・・・・?」




「琴葉さん、それは可愛すぎて反則」



「へっ?」




 急激に顔が熱くなってきた。どうしよう、繋いでる手に汗をかいてしまいそう。今日の理玖は言葉も声色も甘すぎて、どうしたらいいのか分からない。





「駅に着いたらスーパー寄って行こうか」




「はい」




 繋いでいない方の手で顔を仰ぎながら、琴葉は隣を歩いた。
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