【完結】隣国のモフモフ騎士団長様、番ではない私でよろしいのですか?
高台の夜景をともに見た日。
彼への気持ちをとうとう口にしてしまった。
口付けを交わして、抱きしめられたまま眠ってしまった。あろうことか、都合のいい言葉を聞く夢までみてしまった。
翌日、私の起床が遅れて、フェンリル様は家を出るのが早まって、顔を合わせることはなかった。
彼からは「帰ったら話がしたい」と手紙が認められていたけれど。
結局そのまま遠征に出た彼とは、あの夜から一度も会っていない。
それでいい。
彼の幸せのためには、離れなければ。
私が居ては、記憶を取り戻した時、彼が心置きなく番を迎えに行くことができなくなる。
植物たちは庭師のルーファスに今後の世話を頼んだ。
ウィルフォード公爵家の皆には、本当に申し訳ないことをした。
妻として嫁いでおきながら、無責任にも投げ出すのだから。何度も何度も、心の中で謝った。
でもきっと、番と一緒になることがフェンリル様にとって一番の幸せなのだ。
込み上げる寂しさを押し流すように、紅茶を一口含んで、飲み込んだ。