【完結】隣国のモフモフ騎士団長様、番ではない私でよろしいのですか?


 俺の腕に包まれるジャスミンは、この世の誰よりも愛らしく、愛おしい。

 好きだと心が叫ぶ。
 このままずっと、君を腕に抱いていられたらどんなに幸せだろう。

 想いが伝わって欲しいと願って、目を逸らさず彼女を見つめていた。

「フェンリル、様....」

 俺の言葉に、彼女のラベンダー色の瞳が揺れ動いた。
 その奥に喜びの色が淡く灯ったのを感じて、ひどく気持ちが高揚する。

 だが次の瞬間にはまた迷いの色を映して、伏せられた長いまつ毛に隠れてしまった。

 どのくらい時間が経っただろうか。
 長く彼女の心のうつろいを垣間見ていた。

 やがて彼女は顔を上げ、言った。

「....番ではない私で、よろしいのですか?」

「俺は、君がいい。君だから愛しているんだ」

「...........」

 彼女の柔らかな唇が微かに震えていた。






「....番ではない私で、よろしいのですか?」

 葛藤に打ち勝つための、最後の問いかけ。

「俺は、君がいい。君だから愛しているんだ」

 間を置かず、凛と発せられた返事。
 声音にも、表情にも、私への想いが溢れていた。

 そうだった。
 彼は、出会った時から変わらない。
 彼は、色眼鏡で見ない。
 いつも私自身を見てくれていた。

 喉が渇く。声が震える。
 でも、信じてみようと思った。

 私自身を見てくれるあなたを、好きになったから。

 私だから愛していると話すあなたと、生きていきたい。そう思えたから。

 心の中を爽やかな風が吹き抜けていった。
 小さく頬が緩む。
< 107 / 134 >

この作品をシェア

pagetop