【完結】隣国のモフモフ騎士団長様、番ではない私でよろしいのですか?
「後悔、しないで下さいね。記憶が戻った時に」
照れ臭くなって、往生際悪くそんな言葉が口をつく。
「しない。君以外に目をくれるわけがない」
なのに真っ向から受け止められて、嬉しさに破顔した。
「.....番の方との大切な思い出の記憶さえ戻れば、番の方はフェンリル様をお許しになるかもしれません。
お相手が、もう一度やり直そうと言った時、あなたが離れていくことも、私の存在が足枷になることも、まだ怖いです。
でも.....私もあなたと一緒にいたい。
あなたが、好きです」
もう迷わない。私は姿勢を改めて、彼に告げた。
「ジャスミン....っ」
瞬間、感極まったように彼の腕に包まれた。
このまま素直に身を預けて、厚い胸板に顔を埋めたい気持ちに駆られながら、私は再び口を開いた。
「....フェンリル様、待って下さい」
「....ん?待ってくれ」
二人同時に声を上げ、次の瞬間も声が重なる。
「「え?」」
短い沈黙が落ちて、先にフェンリル様が動いた。
「....どうした?」
「い、いえ。フェンリル様こそ」
「うむ。さっき君が言っていたことなんだが」
「はい....?どのことでしょう?」
「番のことだ。何か行き違いがあるようだ」
「行き違い....ですか?」
「ああ。....君が言いかけたことは何だ?」
「.....フェンリル様には、ひとつお話ししておかなければならないことがあるのです」
「.....わかった。俺の話はあとにしよう。おそらく長くなる。先に君の話を聞かせてくれ」
私はコクリと頷いて、意を決して話し始めた。
「.....実は、私はあなたと以前お会いしたことがあるのです」
「.....どういうことだ?」
私は、以前この国に訪れた旅のこと。フェンリル様との出会い。それから、魔法薬で姿を狼獣人と見えるようにしていたこと。すべてを打ち明けた。