【完結】隣国のモフモフ騎士団長様、番ではない私でよろしいのですか?

「.........」

 フェンリル様の目が大きく見開かれた。
 嘘をついていたのだ。どんな咎も受ける。

 覚悟を決めて彼の言葉を待っていたら、発せられたのは思いも寄らないものだった。

「君、だったのか....」

「え?」

「そうか....だから.....」

 何やらぶつぶつ呟いた後、彼は顔を真っ赤にして満面の笑みを浮かべた。

「俺の番は君だったのか....」

 陶然と告げられる。

「え....な、なにを仰って.....?」

「俺の番は、君だ。ジャスミン。間違いない」

「.....どういうことですか?」

「どこから話せばいいのだろうか....。長くなるが、聞いてくれるか?」

「はい」

「と、その前にこれを」

「........?」

 ガサリとポケットから取り出したのは、私が公爵家を出る前に置いてきた『治療薬』だった。

「先に、これを飲む」

「まだ飲んでいらっしゃらなかったのですね」

「ああ。君の前で飲もうと思っていた」

「私の前で?」

「君がどうしても俺を信じられなかったら、目の前でこれを飲んで、鼻が治ったとしても君がいいと証明しようと思っていた」

「..........」

「だが、今から飲むのは確かめるためだ」

「確かめる?」

「においを。番のにおいを確かめる。獣人は、番をにおいで判断する」

 においでーー。

 そこまで聞いて、私の中で何か繋がった気がした。
 あの日。フェンリル様と初めて出会った日ーー。

『やっとだ。会えて嬉しいよ』

『君もしかして、鼻が?』

『それじゃあ....俺のこともわからない?』

 彼のあの問いかけはーー。

 全て合点がいって、ハッと目を瞠った時だ。
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