【完結】隣国のモフモフ騎士団長様、番ではない私でよろしいのですか?

「論より証拠だ。いただくよ」

 言って、彼は目の前で『治療薬』を飲み干した。

 最後の一滴まで口に含んで、喉を上下させる。

「.....どう、ですか?」

 ゆっくり視線が上がる。
 揺れる瞳でじっと私を見据えた彼の表情は

 次の瞬間、ふっと蕩けた。

 まるで、あの日初めて視線が絡み合った時のようにーー。

「『鍵』はにおいだったのか....」

「鍵.....」

「ああ。.....君はすごいな」

 ーー植物に関して博識だ。

「あ.....」

 フェンリル様に、以前言われた言葉。

 意味が伝わったのを察したのだろう。
 彼が優しげに笑った。

「薬の効果まで、抜群とはな」

「記憶が....戻ったのですね.....?」

「ああ。全て思い出した。『ミーナ』のことも。君とどう過ごして、最後に君とどうわかれたのかも」

「では....さっきの行き違いって」

「そうだ。大切な思い出の記憶を失ったから番が去ったのではない。番の記憶自体、封じられている、と言おうとしたのだが.....その前に、真実が判明したな」

「え、ええ....」

 彼の番は私だった。だが、なぜーー。

 『すまない』などと置き手紙だけして去ってしまったのだろう。

 と、私が尋ねる前にフェンリル様が口を開いた。

「全て話す。聞いてくれるか?」
 
「は、はい」

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