隣国のモフモフ騎士団長様、番ではない私でよろしいのですか?
「....ぷっ。....ちょっとした冗談よ。リルハ嬢はエスコート役もお友達もいらっしゃらないから構ってあげようと思って。皆様にあてたサプライズ感覚だったの。もちろんすぐにタネ明かしするつもりだったわ。これで皆彼女の存在を知れたでしょう?」

 案の定、口元を歪めて漏らした。

「そうだったのか!お前はなんて優しいんだ」

 道理の通らない話に、王太子殿下はうっとりと彼女を見つめた。....正気か、この人たち。

「では、ドリンクはトランドル男爵令嬢のもの、リルハ嬢は自作自演などしていない、ということですね?」

「.....ふん、そう言ってるでしょう」

 トランドル男爵令嬢は、不機嫌そうに唇を突き出して肯定した。

「.....承知しました。リルハ嬢」

「は、はい....」

 小さく返事をした彼女に向き直って、私は言った。

「今回の件、(まだ)王太子殿下の婚約者としてお詫び申し上げます。.....例え、《《余興》》だとしても行き過ぎだったと思っております。ドレスは、代わりのものをと思ったのですが....見たところとても《《素晴らしい》》意匠のもの。きっと《《大切なもの》》だったのでしょう。リーフェント公爵家へ送って頂ければ、出来得る限りシミを取り除いてみせますわ」

「.....ありがとう、ございます」

 か細く震えた声だった。
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