【完結】隣国のモフモフ騎士団長様、番ではない私でよろしいのですか?
種子は持ち帰ってから庭に植え、育ち具合や水加減などをノートをとり観察していた。
数ヶ月経ち、ある程度育った所で父に、陛下に進言してみてほしい旨を相談した。
まさか、それが私の正体へと繋がっていくとは。
そういえば、父に進言を依頼した日からほどなくして、フェンリル様との婚姻話が持ち上がった。
「おかしいと思っていたんだ」
フェンリル様の声に、テリウェル陛下が頷く。
「やっぱり引っかかっていたか。いくら『番』の存在を重要視する獣人達でも、王命ならば拒否できる者は少ないからな」
「ああ。例え、噂が広まっていようと相手を決めることはできただろう。
もちろん、あまり好きなやり方ではない。
獣人達の間では、実際、政略結婚はほとんどないしな。
獣人同士が王命で無理に結婚すれば、関係は最悪のまま生活を共にすることになる。
『番』同士であってもだ。なるべく王命なんてものは使わず、先に番の心を手に入れたい。『ミーナ』と出会った時のように。
今回は、シルヴァの王位継承のため、やむなく兄上に王命婚を申し出たがーー。
打診を受ける相手のことを考えると心の中は複雑だった。
しかし、
だからこそ隣国なのかと思って納得はしていた。
獣人でなく、人間との婚姻となれば、番関連の複雑な問題は避けられる。
それがーー
まさかお前の謀だったとはな」
「まぁな」
◇
実はーー
ヴォルフ陛下よりテリウェル陛下が相談を受け、リーフェント公爵家へ婚姻の打診があったのではなかった。
番の見当をつけたテリウェル陛下が密かにヴォルフ陛下へ、二人の婚姻の提案を申し出たのだ。
丁度、王位継承の激化で、フェンリル様本人が政略結婚を願い出た時期だったから、ヴォルフ陛下はその提案を受けた。
テリウェル陛下の行動には、何かしら意味が隠されていることを、長年共に過ごした経験から知っていたから。
そしてーー
テリウェル陛下からの提案であることは、フェンリル様にも私にも、伏せられていた。テリウェル陛下の厳命で。