【完結】隣国のモフモフ騎士団長様、番ではない私でよろしいのですか?
 彼女の髪の毛と瞳は、父であるヴォルフ陛下の白銀色の髪や瞳と、同じ色合いだ。

 以前は眼鏡に隠れて見えなかった瞳も、今は眼鏡をかけておらずはっきり見える。

 どうやら留学するにあたり、身分を隠すため、人間には珍しい色合いの瞳を判別しにくくしようと身につけていたものらしい。

「今日は、めでたい場ですもの、叔父上とお呼びしても宜しいですわよね。

叔父上、そして、ジャスミン夫人、
ご結婚おめでとうございます。

そしてーー

その節は大変、お世話になりましたわ。
改めてお礼を言わせて下さいませ。

本当に、ジャスミン夫人がいなければ
私は牢に入れられていたでしょう。

両親が気づいてくれたとしても、
少なくとも数日は冷たい牢で心細く過ごしていた。

それにーー

私、嬉しかったんですの。
『不完全』の私に、周囲はいつも厳しかった。

でもあの時、あなたは私の傷ついた心に気づき、フォローして下さいました。

あなたの優しい言葉や気遣いに触れて、とても救われた気がしたのです」

 シルヴァ王女は、耳や尻尾がない。

 両親や弟のマーナガルム様にはある獣の特徴を、有さずに生まれた。

 時折、『先祖返り』として、完全なる獣の姿で生まれる者がいるが、シルヴァ王女はその逆だった。

 非常に稀であり、女性という性別。
 もちろん、耳や尻尾の特徴を有していないだけで、優秀な頭脳や、民を思う心、的確な判断力、時には腹芸もこなすほど、王としての素質を備えていたのだがーー

 気づけば、周囲からーー

 特に女性蔑視派の貴族達から、『不完全』と呼ばれることが多くなり、傷つくことに慣れていった。

 留学先でも、トランドル男爵令嬢の嫌がらせに耐えて、心をすり減らしていた時の一件で、ジャスミンには感謝してもしきれないほどだった。
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