隣国のモフモフ騎士団長様、番ではない私でよろしいのですか?
「さて、冷静を取り戻したことだし、父は城に行ってくるよ。正式に抗議してくる。.....念の為確認しておくが、王太子殿下との婚姻に未練は」

「ありません。全然、全く、本気で。.....お父様やお母様にはご迷惑をおかけし申し訳ないですが」

 私が食い気味に迷いなく告げると、苦笑した父が頷いた。

「あの殿下の態度では無理あるまい。.....王命だったとは言え、あの馬鹿王子との婚約を引き受けてしまって済まなかったな、ジャスミン」

 馬鹿王子というくだりは否定しなかった。ここは家族だけの場。これくらい許されるだろう。

「お父様のせいではありませんわ。王命なんて拒否できませんもの」

「.....とにかく。しばらく邸でゆっくり過ごしなさい、何も心配しなくていいから」

「はい、ありがとうございます....」

「あなた、お気をつけて行ってらっしゃいませ」

「ああ」

 父はそのまま王城へと向かった。

 心配しなくていいと言ってくれたが、そうもいかない。

 リーフェント公爵家の子供は私一人で、この国では女性が爵位を継ぐことは認められていない。養子を迎えて跡継ぎとするならば、私がこの家にいつまでも居るのは望ましくないだろう。

 だが、王太子から婚約破棄されたとなれば、国内でまともな婚姻を望めないのは明らかだ。今後のことを思うと現実に打ちのめされる。



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