【完結】隣国のモフモフ騎士団長様、番ではない私でよろしいのですか?

 幻視魔法は他者へ効力を発揮するらしく、鏡に映る姿を自分で見てもいつもと変わらない《《人間の》》自分が映っているだけだった。

 獣人たちの姿は本にあった通り、獣の特徴を身体に有していた。

 頭の上でピクピク動く丸や三角、縦長や途中からパタンと折れた形の耳たち。

 お尻に注目するのはマナー違反だが、視線が釘付けになるふわふわやもこもこの尻尾。猫科の種族は長くしなやかな形だ。

 しかも、男性でも女性でも190センチ以上はある。160センチほどの自分とは違って非常に背が高く均整のとれた身体。まさに武術向きだった。

 女性は簡素なワンピースに耳のイヤリング。男性はラフなシャツにスラックスの様な出で立ちで、自国と似ている。これが貴族や王族となればまた変わってくるのだろう。

 思わずほうっと惚けてしまうほど、麗しい姿だ。
 
「.....っ、いけない。早くしなくちゃ」

 大きな荷物を傍に置いて道に立ち尽くす様子に、興味津々な視線を向けられて、やっと我に返る。

 ぐるりと周りを見てみると馬車のステーション前に『王都観光案内所』と書かれた看板が立っているのが目に入った。

「確かあそこで聞けばいいのよね」

 私は茶色く大きなドアに手をかけた。




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